パワーアンプ
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2016年1月から2018年7月にかけて、低音(tad1601a+4550)、超低音(fw800)以外のパワーアンプを変更しました。
35年物のTAN902が次々と故障したからです。


修理も考えましたが費用が高すぎるし、いつまで持つかわかりません。
 ここは、新しいアンプにしようと思いました。


方法はいくつかあります。検討したのは、

(1)アキュフェーズの中古パワーをさがす。時間がかかるし費用も結構かかります。その割にメンテに費用がかかりそう。第一、前と同じようなことを繰り返すのは、面白くない。
 
(2)業務用アンプをさがす。これも時間がかかるし、902より良くなるとは思えない。

(3)真空管アンプに入れ替える。
 従来、真空管アンプはSNが悪い、音が荒いなどと考え、避けていました。

 要はそのアンプ次第です。ここに気がついたので、方向として真空管アンプに入れ替えることとしました。


2.
真空管アンプに入れ替える場合、二つ方法があります。
メーカー品を買うか、自分で作るか、です。


メーカー品を買うとかなり高く付きます。なにしろ6wayですから。中低域、中域、中高域、高域でもう4台必要です。
それに故障その他、メンテはやはり人任せとなります。

自分で作るのが良さそうです。それに作るのはとても面白そう。ぜひ作ってみたいと思いました。

 しかし、私は電気素人です。真空管アンプは30年前、一台作りましたが、音が気に入らず、それ以来離れていました。

自作アンプ作りを楽しむのは良いが、その性能をどうやって確保するのか。かなり困難です

といってキットでは物足りません。幸い真空管アンプ作りベテランの友人もいることだし、やはり最初から自分の手で作ることとしました。
 MJ誌の記事を見て、探しました。


(1)第一作は、MJ2014年9月号にあった6CA7三結pp無帰還 (著者:岩村保雄)です。
中域(560-1KHZ)用。

30年前の6CA7ペア管が手元にあったこと、製作費用が5万円と安いことが理由です。

 秋葉原に行き、いろいろ部品を購入しました。秋葉原にはまだまだ沢山のパーツ店があります。買いながらいろいろと教えて貰うのも楽しい経験でした。
 アルミ1.5mm厚シャシー作りから始めました。塗装はハンマートーン、写真の通りです。

穴開けに電気ドリル、電気ジグソー、金鋸、シャシーパンチを使いました。
1.5mmアルミにシャシーパンチで穴を開けるのは、ものすごく力が必要で大変でした。数時間かかって開け終わった後は、少々体調が悪くなりました。次は、別の道具を使います。

部品を取付、配線を終わりました。点検後、音出し。
ちゃんと出ました。とりあえず悪くない。
しかしある期間聴いていると、中高域がちょっとうるさく、音の質感がやや安い感じ。

そこで部品の交換を始めました。
まずは、チョーク。ノグチの2800円位のものを付けていたのですが、タムラの同規格A-4003に交換。
 音は変わりました。滑らかで空間の出る感じ、質感も上です。

次に抵抗、コンデンサーの高級化。
 抵抗はほぼ全てをアムトランスのAMRG(一個250-350円)、これ以外もdaleの無誘導巻巻線抵抗(一個500-1000円)にしました。もちろん順序よく効果を確かめながら。

上写真はアムトランスのAMRG抵抗です。
高いですが、品質は素晴らしい。2Wまでです。

パーツ交換は、大変な効果です。音ははっきり、滑らかに、質感は上々。空間も出ます。

回路の変更ができるほど、勉強していないので回路はいじれません。

でも音ははっきりと高級になりました。質感も良く、SN感もOK、これなら今までのアンプと混用しても使えるでしょう。

さらに電源ケミコンの容量増加を図りました。チョーク前後の100μFを147μFや200μFに変化させます。
但し音のバランスが崩れます。二倍量が限度でしたが、今は付けていません。

音のチエックはダイヤトーンP610で行います。







(2)第二作は300Bか2A3かと迷いました。
いろいろ調べましたがやはり300Bの魅力に勝てず、作ってみることとしました。
 MJ2014年7月号にあった300Bシングル無帰還 (著者:岩村保雄)です。
中高域(1KHZ-5KHZ)用。


同様にシャシー製作から始めました。
出てくる音の欠点も同じ。中高域がちょっとうるさく、質感がやや問題。
 そこで6CA7ppと同じくチョークを橋本に交換、抵抗、コンデンサーの高級化を行いました。電源トランスも橋本トランスを使用。


このアンプには苦労しました。
配線間違いが多かったのです。またケミコン回りのハンダ付けが悪く、天ぷらハンダ、芋ハンダ等、に悩まされました。

ハムは無かったのですが、ジリジリジとか妙に雑音が多くその原因がハンダ付けでした。

時間が少なく、焦って製作したのが原因と思います。感電も何度もしました。真空管等壊さなかったのがせめても、と思います。

まあ何とか仕上がりました。滑らかな音です。でも少し不満な点も残ってはいます。


(3)第三作は最も苦労したアンプです。
6CA7ppです。30年前製作して満足しなかったものをまだ持っていたのです。これをバラして再製作しました。
(1981年ステレオ誌 上杉佳郎設計)
中低域用(190hz-560hz)



再製作直後こそ悪くなかったのですが、すぐに大変に不安定になり、年代物のラックスOY14-5トランスを一つ壊してしまいました。

このアンプを使う事をあきらめた二ヶ月後、運良くヤフオクでOY14-5中古を一個入手することができました。

 そこで再々製作しました。
ベテランの人に回路を教えてもらい、6CA7三結ppに、固定バイアスから自己バイアスにしました。

その結果、アンプは復活しましたが、やはり中高域がちょっとうるさく、質感が不満な所は同じ。

これもチョークをタムラA-4003に、抵抗コンデンサーを高級化しました。
 良い音になりました。質感も十分です。

なお、真空管アンプは、製作後、基本的な測定は必要です。
そのため測定機も中古ですが購入しました。使い方を教わりながらでしたが、役に立ちました。



(4)一年間、真空管アンプの製作にほぼかかり切りでした。
いや楽しかった。

 2017年3月現在、かなり良い音と思います。生っぽいと言われました。
ただ少しざらっとした音が残っていますが、そんなに気にはなりません。

(5)ツィーター用は、栗原アンプ10Wです。
(5KHZ以上)
DEQX販売のクリズラボの製品です。2015年暮れに購入しました。このアンプだけバランス接続です。
GOTOSG160ツィーターは、繊細です。
自作アンプでの不慮の出来事に備え、ツィーターには信頼できる栗原アンプとしました。
3.なお、マルチアンプの良さについて
(マルチアンプはマルチウェイ追求をさらに進めることになる)

 マルチアンプにする意味は、各SPユニットへなるべく必要な信号のみを送る、歪みを減らす、アンプの負担を減らして歪みを減らす、ことにあるでしょう。
 マルチウェイ化して各ユニットの負担を減らすことと方向は一致しています。

 つまりマルチウェイ化して追求する理想は、マルチアンプ化によりさらに進められることになるのです。
 マルチアンプの良さは一度試みないことにはわかりません。確かにクロスの設定その他、大変困難な仕事です。しかし、マルチウェイを追求して行くために大変便利な方法でもあります。各ユニットに適したレベル、クロス周波数をネットワーク式に比べると比較にならない自由度で探せるのですから。

4.2018年7月パワーアンプ群は、いかなる構成になったか
「一応の完成」
自作アンプ計3台できました。一応6wayの中音以上で使えそうです。しかし低音用には無理です。製作記事を探し、低音用の力ある真空管アンプを探しました。

100w用OPTを用いた6CA7のパラレルppなどいくつか候補は出てきました。しかし部品代だけで相当の出費です。
成功する保証はありません。そこで日和ることにしました。

メーカー製の真空管アンプをヤフオク等で探すことです。
早速探し始めたところ、結構あるものです。


2017年には、モノラル真空管アンプでしかも6CA7や6550のパラレルPPがそろいました。力は十分なはずです。

上杉UBROS11(モノラル 6CA7パラpp)、UBROS15(モノラル 6CA7パラpp+デュアルOPT)、UBROS30(ステレオ 6L6pp)、マックトンM55(モノラル 6550パラpp)、を中古購入し、さらに自作の二台を加え、6wayは一応の完成を見ました。

満足できるバランスになり、jazz、クラシックなどで一応満足できる表現ができたのです。

「まもなく音への不満が出てくる」
しかし2018年にかけて半年ほど聴いているうちに、どうしても満足できなくなりました。

半導体アンプ時代に比べ、音の鮮度がやや劣るのです。また解像力も劣り、特に低域の解像度の不足は、大きな不満となりました。
楽器の音、声はいい感じなのですが、広がり、空間が足りないのです。

実は、同じ経験を1990年頃しました。当時、半導体パワーアンプを使いながら、上杉UBROS1というプリアンプを使っていました。
それをSONY ESPRIT TAE900に替えたのです。すると低音の解像度が比較にならないほどに改善されました。

通常の真空管アンプには、限界があることをここで理解していたはずです。しかし同じことを繰り返してしまいました。

真空管アンプの音の滑らか感には魅力がありますが、低音解像度の低さには我慢できません。なんとかしないといけません。

「解決策が出てくる」
2018年6月にTRF製のKT88PPアンプに出会いました。
B電源、C電源を安定化し、真空管の動作条件を詰めて完成度を高めたアンプです。
上杉、マックトンなどの従来の真空管アンプに比べると、音の鮮度、分解能など、はっきりと上です。

TRFのKT88PPを三台入手し、6wayは下記のようになりました。低音の解像度、全体の鮮度、歪み感の少なさ、音のバランスは、この3年で一番の成果、と思えます。




(1)上写真には一部しか写っていませんが、
低域(JBL4550+Tad1601a*2 71-190hz)は結局SONY tan902モノラル。
超低域(fostex fw800 900L箱 71hz以下)も、902モノラル、となりました。


低音の解像度、音の鮮度、力感など、モノラル真空管アンプ(上杉、UBROS11、15、マックトンM55)でも、どうしても満足できなかったからです。

(2)中低域(190-500hz YL d75000+MB70ホーン)にはTRF製KT88PP ULとなりました。音の鮮度の良さ、解像度の良さは、真空管アンプとは思えません。

(3)中域(500-1khz、GOTO SG570)には、やはりTRF製KT88PP ULです。音の鮮度、解像度は素晴らしいと思います。上杉では全く得られませんでした。

GOTOユニットの特徴は、細かい表現ができること、にもありますが、第一には音の鮮度が高ければそのまま表現できることです。これはコーンユニットではかなり難しいことです。

このGOTOの表現力をフルに利用するためには、通常は半導体アンプを使うべきでしょう。しかしTRFの真空管アンプは管球式では例外的な能力を示しました。


(4)中高域(1k-5khz GOTO SG370)では、TRF製KT88PPの三結です。これも素晴らしい音の鮮度、解像度です。GOTOのSG370の能力を発揮させてくれました。


(5)高域(5khz以上 GOTO SG160)ここには、自作6CA7三結pp(MJ岩村氏設計)です。300Bシングル(MJ岩村氏設計)でも良かったのですが、SN感から6CA7ppとしました。


なお、どちらのアンプもパーツは最高に近いものにしました。
アムトランスやdaleの抵抗、コンデンサー、タムラや橋本、ファインメットコアのチョークなどです。
音の鮮度感、歪み感はかなり差が出ます。

 自作するときには、シャシーから作りましたが、塗装をハンマートーンにするなど、ずいぶん凝りました。楽しい作業でした。

(6)パワーアンプの真空管化作業を通じて得たこと。

@
2017年頃は、上杉、マックトン、自作により、6wayは一応の完成を見ました。満足できるバランスになり、jazz、クラシックなど一応満足できる表現ができたのです。

しかし2018年にかけて半年ほど聴いているうちに、どうしても満足できなくなりました。

半導体アンプ時代に比べ、音の鮮度がどうやっても劣るのです。また解像力もやや劣り、特に低域の解像度の不足は、大きな不満となりました。

もちろん一つ一つの楽器の音、声は悪くないのです。充実感があります。でも全体にあまりにも臨場感が出ないのです。鮮度、解像度は影響しているでしょう。

大型マルチアンプの良さは、空間のある臨場感にあるはずです。
こう感じだしたら、管球式ではもう無理かもしれません。
そう思っていたときに、TRFのKT88PPに出会いました。


A
GOTOユニットの表現力は、通常言われているよりも素晴らしく、
鮮度感を含めてその表現力を発揮させるためには、上杉などの従来の管球アンプでは、役者不足であること、を感じました。
特に低域まで含めて、GOTOシステムの完成を目指すなら、管球式では不可能、と思いました。

GOTOの持つ鮮度、細かさの表現力に、管球式では追いつかないということでしょう。
特に従来の管球式アンプの、低域方向での能力は、GOTOシステムの能力に全く追いついていない、と思いました。

B
といって従来の管球式アンプを否定するわけではありません。
コーンユニットを中心とする、システムでは、十分です。むしろ音の充実感、艶感などがより良く作用するかもしれません。
私もP610で聴く、管球式の艶感は極めて魅力的、と思っています。

またGOTO中心の6wayシステムでも使えない訳ではありません。人に聴いてもらってもてもおかしくないレベルにすることは可能です。柔らかみのあるいい感じになります。
ただ、長年半導体アンプでGOTOシステムを聴いてきた者にとっては、鮮度、解像度(特に低域)で不満を感じます。ユニットの長所を発揮できていないという思いがしてきます。




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